「自己破産」に関するお役立ち情報
自己破産と財産隠し
1 自己破産と財産隠し
自己破産をするときに財産隠しをしてよいか、できるのかという問題について、直感的にはダメだろう、リスクがあるだろうと判断される方が多いと思います。
実際に自己破産をするにあたって財産隠しをすることは問題です。
では、具体的にどのような問題が生じることになるのか、順を追って説明いたします。
2 免責不許可事由に該当する
自己破産手続きは、申し立てる人からすれば、最終的に裁判所から借金の返済義務を免除する決定(免責許可決定)を出してもらうための手続きといってよいです。
免責不許可事由というのは、この裁判所からの免責許可の決定が下りなくなる事情として条文上定められているものです。
財産隠しについては、破産法252条1項1号が問題となります。
条文の文言は、「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」となっており、財産隠しは「隠匿」に該当するものと考えられます。
意図的に財産を隠すような場合には、通常「債権者を害する目的」であることになるかと思います。
免責不許可事由があった場合でも、他の事情等から裁判所の職権で「裁量免責」をすることがありますが、財産隠しが発覚した場合にそれでも裁量免責をしてもらえるかといえば、難しいと言わざるを得ません。
免責許可決定が受けられなければ、すべての借金の支払義務はなくならないわけですから、当たり前といえますが、財産隠しはするものではないといえます。
3 罪に問われる可能性がある
破産法265条は、詐欺破産罪という罪を規定しています。
財産隠しは265条1号に定められているもので、罪に問われると、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされていますから、最も重い場合、懲役10年と合わせて、1000万円の罰金も科されるということになります。
借金が減るどころか罰金が科されるという状況になっては生活も成り立たなくなってしまうと言わざるを得ません。
4 自己破産で財産隠しはしないようにしましょう
以上のとおり、財産隠しはリスクばかりだと思います。
免責許可決定を得ることで、数百万円、人によっては数千万円という借金の支払義務が免除されるかのうせいがあるわけで、それだけでも十分な結果を得られると思います。
当たり前といえますが、財産隠しはしないようにしましょう。
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