「債務整理」に関するお役立ち情報
自営業者が債務整理をする際の注意点
1 債務整理をお考えの自営業者の方へ
ここでは、自営業者、つまり会社に所属せず個人で事業を行っている方が債務整理を行う場合の注意点について、債務整理の種類ごとに説明していきます。
2 破産の場合
破産はしたいけれども、個人事業を廃業せず継続したいという場合、以下のような点に注意する必要があります。
⑴ 事業に必要な資産の確保
例えば、個人で運送業を行っていて、事業に自動車が必須というケースであれば、破産後も自動車が利用できるようにしておく必要があります。
事業に必要な自動車をローンで購入している場合、当該自動車に所有権留保が付されていると、自動車はローン会社により引き揚げられてしまうのが通常です。
そうなってしまうと、事業を続けようとしても続けられないという事態が生じてしまいます。
また、現金一括払いで購入したようなケースなど自動車のローンは残っていない場合でも、初度登録から数年程度しか経過していないようなときは、資産価値があるものとして認められるため、破産管財人によって売却される可能性があります。
このように、破産手続をとることにより、事業に必要な資産が債権者によって引き揚げられたり、破産管財人によって売却されたりしてしまう可能性がある場合は、その対応方法を検討する必要があります。
⑵ 取引先の信用確保
例えば、個人で塗装業を行っているケースで、業務に必要な塗料等を掛けで購入している場合、まだ支払っていない代金は債務(要するに借金の1つ)となりますので、売主を破産債権者として債権者一覧表に記載しなければなりません。
もし、この債務のみ返済すると偏頗弁済にあたり、免責不許可事由となってしまうので、最悪の場合免責が認められない(借金がなくならない)ことになってしまいます。
代金の支払いができなければ、塗料販売業者の信用を失い、取引を打ち切られることも考えられますので、事前に掛けではなく現金での購入に切り替えるなどの対応が必要となります。
⑶ 事業資金の確保
上記の塗装業のケースで、塗料を現金で購入するには、預貯金か、既に終了した塗装工事等の売掛金(請負代金)を充てる必要がありますが、破産手続開始決定時に存在する預貯金や未回収の売掛金は破産財団に組み込まれますので、自由財産として認められない限り使うことができません。
また、自由財産は、すべての財産を合わせて99万円までしか認められませんので、認められた範囲で事業を継続できるかどうか検討する必要があります。
3 個人再生の場合
⑴ 破産との違い
個人再生の場合、破産と異なり財産が換価されてしまうことは通常ありません。
注意が必要なのは、上記2⑴のうち、自動車に所有権留保が付いている場合と、2⑵の取引先の信用確保です。
前者のケースだと、個人再生でも債権者に引き揚げられるのが通常ですし、後者のケースだと、弁済していない債権は再生債権として債権者一覧表に記載する必要があり、債務の一部が減額されます。
対して、担保権の付いていない自動車や預貯金、未回収の売掛金などの財産は、清算価値の算出の際に考慮されることとなります。
⑵ 継続的に安定した収入が得られるかどうか
また、個人再生は再生債務者に安定した収入があることが前提の手段ですので、個人事業主の方はこの点を注意する必要があります。
給与所得者の方と比較すると、どうしても収入に波が出やすいので、その点で今後返済していけるかどうか裁判官に疑問を持たれないようにする必要があります。
確定申告をしていないなど、そもそも過去の収入を証明できない場合には、対処方法を考える必要もあります。
4 任意整理の場合
任意整理は、借入先であるそれぞれの金融業者と個別に交渉して返済方法を取り決める債務整理の手段ですので、破産や個人再生のような問題は通常生じません。
任意整理は、債務整理を行う金融業者を選択できます。
そのため、例えば事業用の自動車をクレジットで購入している場合であっても、そのクレジット会社を任意整理の対象から外してしまえば、自動車を引き揚げられることはありませんので、事業の継続に支障はないはずです。
5 当法人にご相談ください
自営業者の方が債務整理を行うにあたっては、上記のようにいくつか注意点があります。
東京で債務整理の相談を希望されている方は、お気軽に当法人までご相談ください。
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